2022/06/07
- DX支援
e-Gov電子申請の手順、有効な活用方法とは
電子申請を利用することで、わざわざ出掛けて提出する手間が省け、紙を使わずに行政などに正式な申請や届出が可能になります。この記事では、e-Gov電子申請とはどのようなものなのか、またどのような利便性があるのかをご紹介します。
2020年4月から、社会保険・労働保険関連の手続きで一部の電子申請が義務化されていますので、具体的なe-Gov電子申請の利用方法なども参考にしてください。
1.e-Gov電子申請とは
e-Gov電子申請とは、政府のデジタル庁が行政のデジタル化を図る電子政府政策によって促進している、行政への電子申請サービスです。
2022年4月30日現在の申請可能件数では、厚生労働省3,592件、国土交通省175件、金融庁158件、経済産業省140件など、多くの行政への申請手続きが電子申請可能です。多くの申請がe-Gov電子申請を利用できますが、これからも拡大が目指されています。
e-Gov電子申請の特徴は、役所の窓口の営業時間に関わらずに24時間申請可能なこと、どこからでも申請可能なこと、そして、申請状況をマイページで確認できることが挙げられます。行政への手続きがパソコン上で申請から完了、確認までできて便利です。
2020年4月からのe-Gov電子申請が義務化されている対象とは
2020年4月から、社会保険・労働保険関連の手続きにおいても、電子申請が義務化されている対象があります。
資本金または出資金額が1億円を超える規模を持つ企業は、電子申請が義務の対象となっています。
出典:2020年4月から特定の法人について電子申請が義務化されます
2.e-Gov電子申請でできること、有効な活用法とは
具体的に、e-Gov電子申請でできることですが、パソコンで次のようなことが可能です。
- 申請、届出
- 手続の検索
- 処理状況の確認
- メッセージ通知の授受
- 公文書のダウンロード
また、スマートフォンでも、公文書のダウンロード以外の機能を利用することができます。
紙での申請と比較した場合のメリット、利点についてご紹介します。
e-Gov電子申請には各ユーザーごとに利用できる「マイページ」があります。ここでは、申請した案件への通知を受け取ったり、申請案件の現在のステータスを確認したり、申請案件を一時保存して一覧で確認したりすることができます。
紙の場合は、提出する際にコピーを取っておかないと手元に提出した内容が残りませんが、電子申請の場合、関連する書類がマイページから確認できます。
また、よく利用する手続きをわかりやすく保存できる「手続ブックマーク」機能も備わっています。マイページから利用でき、申請の一元管理が可能になります。同じ申請を何度も行う場合にはとても便利です。
複数の窓口などに出向くこともなくなるので、書類の盗難や紛失など情報漏洩の機会も減り、セキュリティ面でも安心です。
社労士ができるe-Gov電子申請のメリットとは
社労士のe-Gov電子申請のメリットとしては、労働社会保険関係手続きの多くがパソコン上でできるようになることです。
現在、e-Gov電子申請で届出・申請可能な主な手続きは以下の通りです。
- 労働基準法に定められた届出
- 時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)
- 就業規則(変更)届出
- 1年単位の変形労働時間制に関する協定届 など
- 最低賃金法に定められた申請
- 最低賃金の減額特例許可の申請 など
- 健康保険・厚生年金保険
- 被保険者報酬月額算定基礎届
- 被保険者報酬月額変更届
- 被保険者賞与支払届
- 労働保険
- 継続事業(一括有期事業を含む。)を行う事業主が提出する以下の申告書
- 年度更新に関する申告書(概算保険料申告書、確定保険料申告書、一般拠出金申告書)
- 増加概算保険料申告書
- 継続事業(一括有期事業を含む。)を行う事業主が提出する以下の申告書
- 雇用保険
- 被保険者資格取得届
- 被保険者資格喪失届
- 被保険者転勤届
- 高年齢雇用継続給付支給申請
- 育児休業給付支給申請
e-Gov電子申請のデメリットや検討しておきたいこと
また、e-Gov電子申請のデメリットも知っておくことがおすすめです。
e-Gov電子申請では、申請書類を1つずつ入力しアップロードする「通常申請」と申請に必要なデータを用意し1つに圧縮したファイルをアップロードする「一括申請」の2つの種類があります。
通常申請では、申請書類に一項目ずつ入力していき、そこに添付書類を一つずつアップロードするため、手間がかかります。
一括申請でも、必要なファイルや署名ファイルを準備した後に、圧縮して一つのファイルにまとめる作業が必要になり、パソコンに慣れていない人にとっては時間を要するものです。
これらの作業の負担を軽減するため、APIに対応したシステムを導入したり、クラウドサービスを利用したりすることも検討するとよいでしょう。
3.e-Gov電子申請へのログイン方法(3つの方法)
実際にe-Gov電子申請を利用する方法についてもご紹介します。
e-Gov電子申請のためにアカウントを作ることからまず始める必要があります。アカウントは、3つの方法でどれかを取得するといいでしょう。
①e-GOV アカウントを取得
e-Gov が発行するアカウントを「仮登録入力」画面から行い、本登録を行い、ID(メールアドレス)とパスワードでログイン可能です。
②gBiz IDアカウントを取得
gBizIDアカウントを取得すると、1 つの ID・パスワードで様々な法人向け行政サービスにログインできるようになります。gBizIDアカウントを作ることで、多くの行政への申請・届出が1つのアカウントで出来るのでおすすめです。
③Microsoft アカウントを取得
マイクロソフトが提供するサービスで利用できるアカウントです。こちらでもログイン可能です。
これらの3つのアカウントの中から、どちらか1つのアカウントでe-Gov電子申請を利用することができます。
特に社労士としては、gBizIDのアカウントを持つことで社会保険事務所、労働基準監督署、公共職業安定所への申請や届出ができるため便利になるでしょう。
そして、アカウント作成後には、ブラウザもしくは、e-Gov電子申請アプリケーションをインストールすることでe-Gov電子申請の利用が可能になります。
e-Gov電子申請のためには「電子証明書」が必要な場合も
e-Gov電子申請のために、また一部の手続きでは電子署名をした電子証明書が必要な場合があります。必要な場合、ご利用の手続きに対応している認証局の証明書を取得してください。
また、gBizIDを利用して申請する場合、電子署名を省略できることがあります。「手続検索」で申請したい内容を検索し確認してみましょう。
参考:利用準備 | e-Gov電子申請
参考:電子証明書 | e-Gov電子申請
4.まとめ
e-Gov電子申請の仕方についてご紹介しました。これからは、電子申請がさらに幅広く普及していくことが考えられます。
これらのことについては、e-Gov電子申請のホームページで詳しく書かれていますので、詳しく知っておくといいでしょう。これらの電子申請について細かく理解して、環境を先に整える準備をしておく方法がおすすめです。
社労士にも一部で電子申請が義務化されています。e-Gov電子申請を積極的に活用することで、時間と場所を選ばず、効率的に様々な申請が可能です。
申請に当たっては、企業と連携しながらその場で申請や届出ができて便利になるでしょう。また、申請後の確認や、2回目以降の申請や手続きにも役立てられるため、積極的にe-Gov電子申請を活用していくとよいでしょう。
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