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労働基準監督署における申告監督

KiteLab 編集部
2022.02.07

申告監督とは労基法第104条に基づき申告がされた場合等に行われる調査です。定期監督と違い個人的な権利救済が優先されることに特徴があります。
申告監督は定期監督と同様に事前の予告なしに、監督官が事業場に臨検をする場合と、架電や「来署依頼通知書」により日時を指定して来署(出頭)を求められる場合の2通りがあります。どちらの方法で行われるかは、担当する監督官の裁量によって決まることが多いです。
申告監督で争点となる主な法条項として、労基法第24条(最賃法第4条第1項)、労基法第20条が挙げられます。申告監督となる経緯を条文ごとに解説します。
また「定期監督」や「災害時監督」の記事についても、ぜひご覧ください。

事例1 労基法第24条(最賃法第4条第1項)

労働者が連絡をすることなく退職をした、労働者が事業場に何らかの損害を与えたうえで退職をした場合、使用者が労働者に定期賃金を全く支払わないといったケースが挙げられます。
上記のような事情がある場合であっても、賃金は全額を支払わなければならないため、顧問先がこのような措置をとらないよう指導することが必要です。

事例2 労基法第24条

労使協定を締結することなく賃金から「親睦会費」「旅行積立金」等を控除しているケースが挙げられます。中小事業主は労働者の同意があれば賃金からこれらの費用を控除しても労基法上違反とならないと誤認していることが多く注意が必要です。

事例3 労基法第20条

労働者より、「使用者から予告手当の支払いなく、即時解雇をされた等」と申立てがされた場合、労基法第20条違反の疑いがあるとして申告監督の対象となります。
使用者から明確な解雇の意思表示がされた場合はもちろん、「明日から来なくてもいいんじゃないか。」といった発言も、労働者が解雇と認識する場合もあります。
そのため労働者との話し合いの際に、誤解を招くような発言は避けるよう、顧問先に注意を促す必要があります。
以上のとおり、申告監督のきっかけとなる事例をご紹介いたしました。顧問先の労務管理の一助となれば幸いです。

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