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健康診断に関わる法律まとめ

KiteLab 編集部
2022.04.12

4月から新年度が始まる会社では、今年度の健康診断についての計画等も始まる頃かと思います。今回は、健康診断に関わる法律について、まとめます。

健康診断の意義

職場における健康診断は、労働者の健康状況を把握するための基本となる対策です。

<労働者個人にとっての意義>

  • 疾病の早期発見
  • 健康確保のための健康意識の向上 など

<事業者にとっての意義>

  • 健全な労働力確保のため、医師の意見を勘案した上で、労働者が当該作業に就業してよいか、当該作業に引き続き従事してよいかなどを判断する
  • 健康状況の経時的変化も含めて総合的に把握した上で、労働者が常に健康に働けるよう、保健指導、作業管理あるいは作業環境管理にフィードバックする など

健康診断の種類

労働者の健康状況を把握する健康診断は、一般健康診断と特殊健康診断の2つに大別されます。

一般健康診断 

労働安全衛生法第66条第1項に定められた健康診断
目的:幅広い意味で労働者の「健康」の状態を把握すること

特殊健康診断

一定の有害業務に従事する労働者に対し、当該業務に対する特別の項目について行う健康診断
目的:有害業務に従事することによる健康影響の有無を確認し、業務上疾病を防止すること

パートタイム・アルバイト等の短時間労働者に対する健康診断

一般健康診断

パート労働者等の短時間労働者が「常時使用する労働者」に該当するか否かについては、平成19年10月1日基発第1001016号通達で示されています。その中で、一般健康診断を実施すべき「常時使用する短時間労働者」とは、次の(1)と(2)のいずれの要件をも満たす場合としています。

(1)期間の定めのない契約により使用される者であること。なお、期間の定めのある契約により使用される者の場合は、1年以上使用されることが予定されている者、及び更新により1年以上使用されている者。(なお、特定業務従事者健診の対象となる者の雇入時健康診断については、6か月以上使用されることが予定され、又は更新により6か月以上使用されている者)

(2)その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。

上記(1)と(2)のどちらも満たす場合、常時使用する労働者となりますが、上記の(2)に該当しない場合であっても、上記の(1)に該当し、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の概ね2分の1以上である者に対しても一般健康診断を実施するのが望ましいとされています。

参考:
東京労働局 安全衛生法関連 Q&A  Q16
平成19年10月1日基発第1001016号通達

特殊健康診断

特殊健康診断については、契約形態及び週の所定労働時間によらず、あくまでも有害業務に常時従事する場合は健康診断を実施する義務が定められています。

健康診断の費用負担等

(1)法律に基づき実施される健康診断の費用
法律に基づき実施される健康診断の費用は、事業者が負担すべきものとされています。

(2)一般健康診断の受診時の賃金支払い
受診時に要した時間の賃金は、労使協議により定めるべきものですが、受診に要した時間の賃金は事業者が支払うことが望ましいとされています。

(3)特殊健康診断の受診時の賃金支払い
特殊健康診断は、所定労働時間内に行われることが原則です。 特殊健康診断の実施に要する時間は労働時間と解されるので、時間外に行われた場合には、割増賃金を 支払わなければなりません。

参考:昭和47年9月18日基発第602号通達

まとめ

今回は、健康診断に関する法律について、まとめてみました。4月に向けて、健康診断の計画等をされる際、ご参考頂ければと思います。

参考文献:労働衛生のしおり (中央労働災害防止協会)

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