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2022/02/07
労働基準法

地域によって異なる家族手当は割増賃金の基礎に算入しなくてもよいか?

Q. 地域によって異なる家族手当は割増賃金の基礎に算入しなくてもよいか?

【事例】
当社は大阪に本社を置き、オフィス用品等の卸売業を行うものです。この度、事業拡大により東京に支店を設置することとなったため、就業規則(賃金規程)の改訂を行っています。
当社では扶養人数に応じて家族手当を支給しているのですが、東京に勤務をする労働者には、物価等を考慮して家族手当に幾らかの金額を上乗せをしようと検討しています(下表参照)。
家族手当は割増賃金の基礎から除外してもよい手当のため、従来通り割増賃金の基礎から除外する予定でした。しかしながら、労務担当の者より東京・大阪の労働者に支給する家族手当の差額3,000円は「地域手当」に該当し、当該差額については割増賃金の基礎となる賃金ではないかとの意見が出されました。
地域ごとで異なる家族手当の差額については割増賃金の基礎となる賃金に算入しなければならないのでしょうか?

有する扶養家族/勤務地大阪本社東京支社
1人10,000円13,000円
2人15,000円18,000円
3人19,000円22,000円

1.割増賃金の算定基礎となる手当

 労基法第37条第1項・第4項の規定により、使用者は時間外労働、休日労働、深夜労働を行わせた場合はそれぞれの時間に応じて割増賃金を支払わなければなりません。割増賃金の計算方法は、賃金の支払形態が月給の場合であれば、一般的には月給を1年間における1月平均所定労働時間数で除した金額を時間単価としてそれぞれ計算を行います(労基則第19条第1項第4号)。

 割増賃金の基礎となる賃金には原則として各種手当を算入しなければならず、当該手当に算入しなくてよいものとして、①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当、⑥臨時に支払われた賃金、⑦1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金の7つが該当します(労基法第37条第5項 労基則第21条第1項)。

 これらの手当は限定列挙であるため、列挙された手当以外の手当は割増賃金の基礎に算入しなければなりません。したがって、特定の地域に勤務をする者に支給する地域手当等は割増賃金の基礎に算入しなければなりません。

上記の手当は名称に関わらず、実質によって取り扱いをしなければなりません(昭和41年4月2日 基収1262号)。例を挙げると、「家族手当」は扶養家族数によって支給金額が異なる手当をいうものであり、独身者に一律に支払う「家族手当」等は労基法上の家族手当とは認められません(昭和22年11月5日 基発231号)。

2.複数の要素が混在する手当の取り扱い

 ご質問のケースの場合、支給を検討している手当は、扶養家族の人数に応じて金額が変動する一方で、勤務する地域によっても金額が変動しており、家族手当と物価手当(地域手当)の要素が混在している手当と言えます。

 このような手当の取り扱いについて、通達では、「家族手当以外のもので、扶養家族数又は家族手当額を基礎として算定した手当及び官庁職員の場合における家族手当を基礎として算出した勤務地手当の部分はこれを家族手当とみなし割増賃金の基礎となる賃金から除くのものとする(昭和22年11月5日 基発231号)。とされています。

 ご質問で想定されている手当は扶養家族数に幾らかの物価手当を加算しているもののため、当該差額の3,000円も含めて家族手当とみなされ、割増賃金の基礎に算入しなくてもよいものと解されます。

 ただし、下記のような事例では、当該差額の3,000円については地域手当に該当するものと思われます。

有する扶養家族/勤務地大阪本社東京支社
0人(独身者等)0円3,000円
1人10,000円13,000円
2人15,000円18,000円
3人19,000円22,000円

 

上記手当は扶養家族を有しない独身者等であって、東京支店に勤務をしている者に対して3,000円を支給しています。そのため、当該3,000円については家族手当とはみなされず、「地域手当」として扱いをしなければならず、当該差額の3,000円に関しては割増賃金の基礎に算入しなければなりません。

まとめ

(労基法第37条第5項 労基則第21条第1項)。今回は労基則第21条第1項の家族手当について整理しました。
Kiteraではyoutubeチャンネルを開設し労働法関連の役に立つ情報を発信しています。割増賃金についても動画で解説していますので、ぜひご覧ください。

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